はいそろそろイベント近いですよーやばいですよーこんばんは。
さくっと書き終えたいところですが、中々上手くいきませんね。
とりあえず、前回の続きをうp。
イベントまでになるべくちょこちょこ公開できたらいいなーと前向きで淡い期待をしつつ。
どぞ。
「さてっと、掃除でもしますか」
家の者が全員出かけてしまったので、アルフは一人になってしまった。
家に残った者がやることは一つ。
最近ではもはや日課になりつつある家事に専念することにした。
掃除洗濯等の家事全般を以前はエイミィの手伝い程度にこなしていたが、最近ではアルフに任せっきりな状態になっている。
もとよりアルフはフェイトと海鳴市からさほど遠くない地で、二人暮らしをしていた経緯がある。そのため家のことに関してはある程度心得があり、面倒見がよく世話好きな性格も幸いし、苦労することなく暮らせている。
「フェイトの部屋でも掃除するかな」
部屋の窓に近づきカーテンを開ける。窓を全開にして部屋にこもった空気を外の空気と入れ替えた。
「相変わらず掃除し甲斐のない部屋だこと」
フェイトの部屋はいたってシンプルだ。物が少ないわけではないが、多いというわけでもない。本はきちんと本棚に収納されており、衣類もしっかりクローゼットに仕舞われている。要するに常に物が整理整頓されており、大きな掃除が必要ないということだ。これもフェイトの性格の表れであろう。
「いつもみたいに軽く埃取るだけで終わりそうだな」
はたきを手に持ち部屋の中を見回して呟くと、机やら本棚を掃除し始めた。
本棚の中身は様々だ。指導指南書やら経理関係やら工学関係など背表紙を見ただけで難解そうな本がずらりと並んでいる。どれもこれも今のフェイトの立場上学ばなければならない内容なのだろう。本を手にとって中身を確認する気も起きなかったので、さっさと埃を取って掃除を済ませることにした。こんな本棚の前に一分もいたら頭がおかしくなってしまいそうだ。
すぐに本棚の前から退散し次は机を掃除する。
机の上も部屋同様に物が散乱していることなく整頓されている。ただ唯一物があるとすれば写真立てと数枚の写真くらいだ。おそらく整理しようとして出したままだったのだろう。
本棚と同じように手早く済ませようとしたが、ふと手を止めた。アルフは机の上に乗せられている写真立てを手にとって眺めた。
中には一枚の写真が収められている。
視線を机の上に残った数枚の写真へと向ける。そこにも似たような写真が見受けられる。
写真は全てエリオとキャロが写った物であった。
「このちびっ子達ももう六課の仲間入りか」
ふふ、と思わず微笑んでしまう。
ついこの間まで家族や友人といったものを知らなかった子達が今では立派な魔導師である。立派と言ってもまだまだひよっ子であるには違いないが。
「かわいいもんだ」
写真はフェイトと写っているものも多かった。そして何枚もある写真のどれに関しても言えることがある。
「いい顔してんなー」
笑顔。
写真に写っているエリオとキャロは全て笑っていた。
それがどんなに素晴らしいことか。アルフはその重みを知っている。子供が子供らしく生きるということは、簡単なようで難しい。何の気概もなく、煩うことなく純粋に笑う。この写真の中の子たちはそれが出来るようになった。
フェイトのおかげである。フェイトがこの子たちの保護責任者という立場になったことにより、二人に居場所が出来た。それは帰る場所であったり、笑い合う場所であったり、他愛のないことであるが、この子たちにはそれが何よりも大切なことだった。フェイトはそれを知った上で、二人の力になりたくて、名乗り出たのだ。
二人に家族の大切さや友人のいる温かさを知って欲しくて。
「敵わないな、フェイトには」
何枚もの写真を一枚ずつ眺めている内に改めて実感し、思わず言葉をこぼした。
「羨ましいよまったく」
それは少し妬けてしまうくらいに。
どうやら今日の掃除はいつもより時間が掛かってしまいそうだ。
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