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どうもこんにちはメイプルです。

リリマジ5に向けて執筆してるわけですが、例に漏れず順調に遅れてたりします。
もしかしたらやばいんじゃないかな。
原稿以外にもやらんといけないこと結構あるし。
大学のレポートとかレポートとかレポーt

はい、がんばります。

とりあえず何もうpしないのもそろそろさみしいかもしれないので、原稿をちょいとだけうpしときます。

どぞ。


 この炎の輝きに全てを賭ける。
 ガスの量は完璧。つまみは当てにならない。
 信じられるものは己の経験と勘のみ。
 そう、絶対に焦がすわけにはいかないのだ。
 まだ目覚めぬ主人の為にも、完璧なもてなしをすることこそが使い間としての自分の使命。
 そう、だからこうして全身全霊を持って――

「目玉焼きくらいさっさと作るー!!」

 パコンっ!

「あ痛っ」

 後頭部に鈍い痛みを感じた。
 どうやらフライパンのように底が平らで掴み心地が良い取っ手が付いており、かつ程よい重量感を感じられる正にフライパンのようなフライパンで殴られたのだろう。

「何すんだい、エイミィ」

 目に涙を溜めて振り返るとやはり後ろには一人の女性が腰に手を当て、フライパン片手にこちらを見ているではないか。まったく人の頭を何だと思っているんだこの人は。
 栗色の髪を後ろで束ねて呆れ顔を見せる女性、エイミィ。かつて執務館補佐やメインオペレーターを務めていた頃の面影は薄れつつ、今では立派な二児の母であり、エプロン姿がすっかり板についてきている。

「まったくー、目玉焼き一枚焼くのにどんだけ神経使う気よー」

 はぁー、とため息交じりにエイミィは肩をすくめる。

「はい、さっさとどいてー。朝は時間との勝負だよ。ぼさっとしてないでご主人様でも起こしてきな」

 どいたどいたー、と言わんばかりの勢いでキッチンからアルフを追い出すことに成功したエイミィは早速朝食の準備へと取り掛かる。誰かさんがちんたら調理していたから進行が停滞していたため、猶予はあまりないらしい。
 アルフは自分の仕事を半ば強引に奪われてしまったが、新たに重大な使命が与えられた。自分のご主人様を起こすというとても重みのある仕事だ。
 直ぐにアルフは寝室へと駆けていった。


 寝室の扉は閉じられている。
 まだ朝の気だるさに身を委ねているアルフのご主人、フェイトがこの部屋の中で寝息を立てているのだろう。
 アルフはフェイトを起こさぬように静かに戸に手を掛けた。
 音も無く素直に開いた戸の先には、布団に包まれて静かに寝息を立てるフェイトの姿があった。
 ゆっくりとベッドまで近づく。
 そっと覗きこむとフェイトの寝顔がある。
 アルフは静かに微笑む。

「んっ……」
「っ!」

 起こしてしまったのだろうか、寝返りを打ったフェイトから咄嗟に離れた。
 ところが起きる気配はベッドからまるで感じられない。
 再び覗き込むと、そこにはいまだに眠り続ける姿が。

「――っ!!」

 そこでアルフは重大なことに気が付く。
 寝返りを打ったせいであろうか、フェイトの若干衣類が乱れているのだ。
 上に羽織ったブラウスは肩からズレ落ち、僅かに胸元がはだけている。そこに、長く伸びた金色の髪が滑り込んでおり、寝息とともに上下する双丘を覆っている。その髪とブラウスが上下運動とともにずれては隠しを繰り返していて、絶妙な鉄壁を保持している。少しでも保った均衡が破れようものなら全てが露わになってしまいそうな状態だ。

「フェイト……」

 アルフが呟く。
 何かに誘われたかのように自然と手を伸ばした。伸ばした先はフェイトへと向い、やがてその矛先はもう少しで全貌が明らかになってしまいそうなフェイトのふくよかな胸元へと――

「お姉ちゃん起きてーーー!!」
「朝だーー起きろーーーっ!!」

 どーんっ!
 再び背後に強烈な衝撃。

「ぐふぅ」

 勢いよく飛び込んできた物体に押されたアルフは、そのままの流れで目の前のフェイトへと突っ込んでいく。
 ああ、目の前に念願の谷間が迫っていくよ。
 何の抵抗もなくアルフはベッドへと倒れこみ、後ろから突撃してきた物体と共にフェイトに圧し掛かる形に収まった。フェイトからしてみれば朝からいい迷惑だろう。


「まったくー、朝は普通に起こしてっていつも言ってるのに」

 朝食の時間。
 朝から人の体重で押し潰されて起きるという割と奇妙な体験をしたフェイトだが、言動から察するに毎朝似た様な起こされ方をしているようだ。ご愁傷様です。

「私達はお母さんに頼まれただけだもんねー」

 ねー、とお互いの顔を見ながら騒がしく朝食を進めるのはエイミィとクロノの子供、カレルとリエラだ。二人とも育ち盛り騒ぎ盛りで朝から晩まで元気いっぱいといった感じだ。

「どうせエイミィがけしかけたんだろ、こどもの教育にも良くないからやめろって言ってるじゃないか」

 その夫であるクロノが口を挟んだ。こちらはかつてアースラを指揮し、戦いの最前線に身を置いていた頃とは違い、今では立派な貫禄漂う二児の父である。

「あらあら、クロノも立派にお父さんっぽいこと言うようになったじゃない」

 うふふ、と脇からちょっかいを出したのは微笑を湛えたリンディである。今ではすっかり隠居生活である。

「だってー、アルフに起こすように頼んだんだけどなかなか起こそうとしてくれなくて」

 エイミィは言い訳のようにフェイトに抗議した。

「だったら二人に普通の起こし方を教えてあげてよ、アルフもだよ」

 諭すようにフェイトは言った。

「だったら自分で起きたらいーじゃんかよー。ま、あたしは毎朝フェイトの寝顔が見れるから今のままがいいけどね」

 にまー、と頬を緩めてアルフは言った。

「それよりいいのかこんなにゆっくりしていて、今日から局での仕事が増えて忙しくなるって言ってただろ」

 ちらりと時計を見ながらクロノはフェイトに言った。

「あ、そうだった、もうすっかり忘れてたよ」

 フェイトは慌てて身支度を済ませるとすぐさま玄関まで駆けていった。

「行ってきまーす」
「慌ただしいなぁまったく」

 やれやれといった具合でアルフは苦笑する。
 とんだご主人様だ。

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