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出来ました。遅れました。ごめんなさい。

とりあうp。

================================

 時空管理局。
 広大な敷地面積を誇る本部では日夜、局員によって膨大なデータを処理し、数多の管理世界の監視と規制を取り行っている。

『こちらアルファ1。目標を目視により確認できました』

 その最前線に立つ者達は日々の鍛錬を疎かにすることがない。そしてまた、前線を支持する局員達もまた常に更新される膨大な情報を統制管理することに余念がない。

『管制より各部隊へ。目標は現在通路Bを通過し直進。このまま中央ルートを使用すると予想されます』

 そんなお堅いイメージのある管理局であるが、常日頃から気を張っている訳ではない。もちろん息抜きも必要である。
 ただ日頃の激務からの反動であろうか、その息抜きは時に常識を軽く飛び越えたものになることも珍しくない。

『こちらスティング3。目標のサーモグラフデータ出そろいました。各部隊へ一斉送信します』
『こちら管制。データ全て出そろいました。心拍数微小上昇中。歩数、歩幅及び歩周期から予想される目的地は――』

 各隊員達の息を飲む気配が伝わる。ある者は手にしたデバイスを握りなおし、ある者は額に流れる汗を拭う。

『――無限書庫です』

 それは心のどこかでそうあって欲しくないと思う気持があったのだろう。
 そこかしこから落胆の色が吐き出される。
 僅かばかりの期待が残っていたのかもしれない。
 しかし、現実はそうはいかない。目的地は無限書庫。
 この事実は揺るぎそうになかった。

「こちら指揮官八神はやて。指揮官より各部隊へ今回の目的を確認する。お前らっ! 今回の目的を言ってみ!!」
『はっ、目標高町なのは一等空尉のチョコレートを死守することであります。サー!!』
「よろしい。隊員どもっ、気を引き締めて行けーー!!」

 怒号とも唸り声ともつかない地鳴りが響き渡った。
 これが仕事がない時の管理局の実態か。
 皆さん働いてください。


「ふーようやく一段落かな」

 司書長、ユーノ・スクライアは大きく伸びをした。
 広大な無限書庫。膨大な情報の蓄積された空間に身を投じて、早数年。
 そろそろこの「司書長」の肩書も板についてきた頃。
 最初の頃は肩書に負けない様にと伊達眼鏡なんぞを掛けていたが、今では本当に視力が落ちてしまった。本末転倒もいいところである。

「ちょうど約束の時間かな」

 ユーノは腕時計を見やり、呟いた。

「電話でもしてみようかな……って、あれ、おかしいな電波が届かないのか」

 電波が届かないことは、管理局内にいる限りそう滅多に起こることではない。しかし、気を取り直して別の手段に移ることにする。

「じゃあ念話は……っと、こっちもだめか」

 さすがにちょっとおかしい。
 不審に思ったユーノは空間にパネルを展開し、なのはの状況を画面上に映すようタイピングしていく。

「本当はプライベート侵害だけど、そうも言ってられないだろう」

 私的に管理局内のモニターにリンクし、映像を呼び出すことは司書長くらいであれば権限が与えられており、何の問題もない。だが、その権限も止む負えない場合に限るためあまり褒められた行動ではなかった。

「えっ……なんだこれ」

 タイピンングしていた手が止まる。
 ユーノは思わず我が目を疑った。
 なのはは腕に箱を抱えながら管理局内でも比較的広い部類に入るであろう住宅エリアを歩いていた。
 そして、なのはの付近に管理局員がいる。
 それだけだったら何の問題もない。むしろ局内に局員がいて当然である。
 問題は局員全員が武装していることであった。
 バリアジャケットを纏い、手には量産型ストレージデバイスを持った局員達が街路樹の中から狭い路地に至るまで待機している。そしてなのはを囲うようにした三人一組による陣形。これは通常の実践戦闘を考慮した標準装備であり、管理局内でこのような警戒を張ること自体異常であった。
 なのはの周辺を軽く探索するつもりが思わぬ収穫である。

「おいおい、まさか」

 ユーノは即座にタッチパネルを操作し、スクリーンを増やしていく。次々に出現したモニターには管理局内のあらゆる場所が映し出されていく。そしてどの画面にも管理局員達が物々しい武装をしたまま待機していた。その配置箇所から隊員の数、隊員達の陣形まで全て完璧だ。これ程の用心をしていれば大抵の緊急事態であれば抑え込むのに苦労しないであろう。

「なんなんだよ、これは」

 ユーノは困惑した。
 当然だ。普段の管理局を考えれば理解に苦しむ。

「ん? 何かいるな」

 多数に展開されたディスプレイの一つに不審な動きをする人物が映し出されている。すぐさまタッチパネルを操作し画面を呼び寄せる。高速な命令信号に対してタイムラグなく順応にディスプレイが展開、拡大を繰り返す。
 ちょうどなのはが街路樹の点在した交差点に差し掛かるところであった。
 その交差点の向こうから子供が走ってくる。進行方向からしてなのはを目指しているように見える。このままの勢いでなのはにぶつかれば、抱えている箱が中身ごと潰れかねない。そこには今日これから貰う予定であるはずのチョコが入っているのだ。
 しかし、不幸にもなのはの位置からでは背の低い子供は街路樹に阻まれて見えていない。

「ちょっ、どうなってるんだ」

 状況を瞬時に判断したユーノは止むを得ず転送結界を高速展開。
 設置個所は交差点の曲がり角付近。なのはの直前であるが本人からは視認出来ない箇所である。これは本人に不審がられないようにとの配慮である。
 そして転送先はなのはの後方に指定し、すり抜けるようにした。

「こんなえげつないことをするはあの人しかいないな……」

 ユーノは見えない人物に対して文句を漏らす。

「見てるんだろ。通信くらい通したらどうなんだ」

 空間に向かって話しかけると、思いのほか素直に返事が返ってきた。

『さっすがユーノ君。結界魔導師の名は飾りじゃないねー。ま、これくらいじゃないと張り合いってもんがないんだけど』

 余裕の貫禄ではやてはユーノに通信を繋いだ。

「はやて、君は何をしてるかわかってるのか! 管理局員を私用で出動させ、挙句あの武装は何考えてんだ!」

 ユーノは遠慮なくはやてを詰問する。普段の温厚な彼からはあまり見られない行動であるが、管理局内の様子を見た者であればむしろ当然の行動であろう。その上、チョコが賭かっているのだ。

『ユーノ君になのはちゃんのチョコをあげるわけにはいきません。なのはちゃんのチョコは管理局全体のものです』

 ユーノは開いた口が塞がらなかった。この人は何を真剣な口調で言っているのだと。

『第二陣っ、突撃ー!!』

 ユーノのことなどお構いなしに、はやては声高らかに指揮を執る。
 はやての合図とともに、天井のスプリンクラーが作動しなのはを強襲する。どうやらチョコ諸共水浸しにしてしまう作戦らしい。

「ちょっと待てーー!!」

 有無を言わさぬはやての策略に手をこまねいている暇もなく、容赦なく危険が襲いかかる。
 ユーノはなのはの頭上に対物理結界を高速形成。同時に干渉物を別空間へ転送するプログラムを構築、実行。

『やるなー、ユーノ君。いつの間にそんな高レベルな魔法を習得したんや』
「こっちもただ無限書庫に篭ってるわけじゃないんでね」

 額に汗を浮かべながらもユーノはなんとか返答する。ほぼ思考時間ゼロでの高レベル魔法を強制連続使用していれば疲れて当然である。むしろここまで正確無比な結界形成は彼にしか出来ない芸当だろう。
 汎用性のある対魔力干渉用の結界ではなく、物理衝撃に特化した結界の形成、その上干渉した物体を完全に別空間へと移動する空間転移魔法の即席構築などといったことができる結界魔導師は管理局内でも彼以外にいないだろう。

『そろそろこっちも本気出さなあかんちゅうことやな……』

 ユーノは内心、まだ何かやる気かこの人はと呆れたのは言うまでもないこと。


「はー、一体いつまでこの無益な戦いは続くんだよ」

 一人ユーノはごちる。無論、無限書庫内には彼の愚痴を聞いてくれる者は居合わせてなかった。
 ばーん!
 突如何の前触れもなく開け放たれる書庫のドア。普通の来客であればこんな乱暴なことはしないだろう。
 愚痴を聞いてくれる人が来たのか、などと考える訳もなく、ユーノは何事かと音のした方へ振り返る。

「ユーノ、そこまでだよ」

 金色の髪をなびかせて、女性が部屋へと入ってきた。その足取りには迷いがなく、真っ直ぐにユーノへと向かってくる。

「フェイト……君もはやての味方だったのか」

 ここまでか、そんな思いが頭をよぎる。対人近接戦闘においてこれほど歩の悪い相手はいないだろう。さすがはやての作戦だ。どこまでも抜かりがない。
 しかし、フェイトの返答は予期せぬ物であった。

「違う、私は私の考えがあってここへ来たの」

 ユーノは返答に詰まってしまった。
 フェイトの言葉を反芻する。
 じゃあ一体何故彼女はここへ来たのだろうかと。

「何だっていうんだよ。君もなのはのチョコが管理局全体の物だとでも言うのかい?」
「それも違う」

 答えは否。
 どうにも話が進まない。平行線の一途を辿るばかりである。

「じゃあ……」
「なのはのチョコは……、私の物なんだからぁあああああ!!」

 フェイトが涙交じりに泣き叫んだ。
 次の瞬間にはユーノの頭上から雷が降ってくる直前であった。

 ――まずい!

 ユーノは直観した。
 フェイトの雷を防ぐことは不可能。発動時間もさることながらその威力は並のバリアで防ごうなど無謀もいいところである。
 ユーノの考えた手段は一つ。
 この空間ごとどこかへ転送するしかなった。
 先ほど対物設定で転送魔法を行使したばかりである。ならばそれを流用して転送範囲を大まかに設定すれば少なくとも雷の直撃は免れるであろう。

「くっ――、転送ーー!!」


 なのはは状況が上手く飲み込めずにいるようだった。
 交差点を歩いていて、ふと魔力行使の気配がしたので振り返ってみた。
 そこには何故か、倒れこむユーノとフェイトの姿が。
 突如そのような状況になれば動揺するのも無理はない。
 転送範囲を大まかに設定したためか、ユーノとフェイトは一緒に転送されてしまったようだ。しかも幸か不幸かなのはのすぐ近くに。
 二人がゆっくりと起き上がると、一番早くなのはが口を開いた。

「あ、ユーノ君にフェイトちゃん。ちょうど良かった。二人に渡したい物があるんだー」

 二人が何故ここにいるのか、といった疑問はどこかに置いてきてしまったかのような振る舞いで、なのはは二人に近づく。

「はいチョコレート。手作りなんだよー。これからはやてちゃんにも渡すんだ。それからお世話になってる局員の人達にも渡しに行くよ」

 二人に衝撃が走る。
 いや、その様子はもちろんはやてのみならず管理局員全体に知れ渡った。
 今までの戦闘から攻防戦に至るまで、一体自分たちは何をしていたのだろうか。
 そんな思いが誰しもにもよぎる。
 だが、聞き逃してはいけないのがなのはの言葉である。
 「局員の人達にも渡す」、と彼女は確実に言った。
 このことに気がついた者達から順に安堵のため息が漏れ、次第に歓喜へと移っていく。
 管理局内が唖然から拍手喝采に包まれ変わるまでにそれほど時間は要さなかった。ただユーノとフェイトだけはいまだに納得がいかないといった面持ちをしている。
 満面の笑みでチョコを手にしたなのはをしばらく見つめているだけであった。

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